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2025/05/01
高校生が挑む新しい養鶏業の未来/三重県立四日市農芸高等学校「みのりのプロジェクト」【ネットワーク東海4月4週号】
三重県立四日市農芸高等学校農業科学科(四日市市)では、地域資源を活用した持続可能な鶏卵生産の実践に取り組んでいる。この地域は稲作や菜花、かぶせ茶など農業が盛んな土地であり、特に採卵養鶏が盛んだ。しかし、近年の飼料費高騰が養鶏農家を圧迫。経営改善のための新しい方法が求められ、エコフィード(食品循環資源利用飼料)の活用を目指している。
プロジェクトを通じて地元農業と連携
2024年夏、農業科学科・食料生産コースの生徒が「輸入穀物飼料の使用を減らした持続可能な鶏卵生産の実践」をテーマに「みのりのプロジェクト」を立ち上げた。現在は3年生3名、2年生1名の計4名で活動している。
原料資源の成分分析をし、採卵鶏の飼養に必要な成分が不足しないよう原料選定を行う。地元の酒造会社から酒粕を提供してもらい、発酵性の高い飼料の開発を試みた。
酒粕は栄養価が高いが、水分量が多いため、米ぬかや規格外のカステラなど水分量の低い資源と組み合わせる。
米ぬかは地元の大規模農家から、カステラは三重県を代表する食品メーカー「井村屋」から提供を受けた。
「養鶏農家さんを救いたい」
実際の給餌試験は、同校で飼養する採卵鶏で実施。試験区でエコフィードを給餌した結果、産卵率に変化はなく、卵重や卵殻強度が改善され、卵黄の不飽和脂肪酸含量も増加した。また、1羽あたり月53円のコストダウンを実現。農家規模の試算では、月間318万円の経費削減が見込まれた。
さらなるデータ蓄積のため、現在は放棄竹林に目を向け、竹粉とカステラを配合した飼料作りにも取り組んでいる。
プロジェクト立ち上げメンバーの3年生、中久木 美月(なかくき みづき)さん(17)は「農芸高校のエコフィードで養鶏農家さんを救いたい。鶏さん達にもこのエコフィードを沢山食べてもらい、卵に付加価値をつけていきたい」と笑顔で話す。
<東海版4月4週号特集号>
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