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2025/06/30
酒造り 地元営農組合と連携【ネットワーク東海6月4週号】
酒造り 地元営農組合と連携/伝統製法と新しい感性で挑戦/大田酒造・伊賀市
【三重支局】「昔ながらの製法を守りながらも、働きやすい環境づくりで業務効率を図っている」と話すのは、伊賀市の株式会社大田酒造7代目で、専務取締役・杜氏(とうじ)の大田有輝(おおたゆうき)さん(30)。伊賀の名水と地元産の伊賀米を使い、代々受け継がれた手間を惜しまない製法に、新しい感性を取り入れて酒造りに挑む。
東京農業大学醸造学科を卒業後、鈴鹿市の「清水清三郎商店」で修業を積み、2017年に家業に戻った。19年に県内最年少の杜氏となり酒造りの責任者となった。
大田酒造は、明治25(1892)年創業の家族経営の老舗酒蔵。代表銘柄「半蔵」は、地元ゆかりの忍者・服部半蔵にちなんで名付けられた。芳醇(ほうじゅん)な香りとすっきりした味わいで国内外の品評会で高く評価され、2016年の先進7カ国首脳会議(G7)伊勢志摩サミットのディナーで乾杯酒として出された実績も持つ。
「酒米の個性を出しつつ、幅広い世代が手に取るお酒を造り続けたい」と有輝さん。地域資源の活用と持続可能な農業の実現を目指して誕生した地酒が「i田(いだ)」だ。地元の大東営農組合と連携し、酒米には猪田(いだ)地区産「山田錦」を使う。
25年の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で最高金賞を受賞。大東営農組合の前川清代表は「受賞を誇りに思う。これからも品質の良い米作りにまい進したい」と話す。
有輝さんの母で、6代目女将(おかみ)の大田智洋(ちひろ)さんは「蔵人は社員体制で、平均年齢は35歳で頼もしい。息子の世代が労働条件を整え、持続可能な形にしたことが何よりうれしい」と話す。
大田酒造では「半蔵まつり」や試飲イベントも開催。地域との連携も深めながら、伊賀の地酒文化の発信と地域活性化に力を注ぐ。
〈2025年6月4週号 東海版〉