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2025/10/21

観葉植物栽培60年の歴史に幕【ネットワーク東海10月2週号】

感謝込め 最後まで/竹屋園芸 加藤隆雄さん、好美さん夫妻/三重県四日市市

四日市市尾平町で観葉植物栽培に取り組む竹屋園芸の加藤隆雄さん(82)と妻の好美さん(78)が、今年12月をもって約60年にわたる歴史に幕を下ろす。栽培を始めた当初は珍しかった観葉植物に挑戦し続け、これまでに出荷したアンスリウムは累計100万鉢を超える。

加藤さん夫妻が観葉植物の栽培を始めた1964年は、まだ日本ではあまり知られていなかったという。「他と違うものを作りたい」という思いで取り組み、アンスリウムやスパティフィラムを中心に年間4万鉢を出荷してきた。隆雄さんは「最初は2棟の木造ガラス温室から始め、鉄骨ガラス温室に徐々に建て替え、現在は11棟になりました。品質の向上を追い求めながら、数量も増やし、ずっと突っ走ってきた」と話す。
好美さんと二人三脚で営んできた温室では、鮮やかな赤や白、ピンクなど、多彩なアンスリウムが丁寧に育てられている。好美さんも「やると言ったら聞かない人だから。ここまでやったら悔いも全くないわ」と明るく笑う。
常に順風満帆だったわけではない。特に温室栽培では、病気のリスクが大きい。輸入する苗の中に1本でも病気があれば、ハウス全体に広がってしまう可能性がある。
さらに近年では異常気象で、強い日差しや高温によって花や葉が傷み、商品価値を失うケースも増えてきた。そんな苦境にも負けず、竹屋園芸は関東東海花の展覧会で農林水産大臣賞を8回受賞、三重県花植木振興会でも農林水産大臣賞を2回受賞。長年にわたり地域の人々に彩りを届けてきた。
隆雄さんが一番印象に残っている出来事は、2016年に仙台市で開かれた先進7カ国(G7)の財務大臣・中央銀行総裁会議の会場で竹屋園芸のシダが飾られたこと。東京の市場に出荷したシダを仙台市の生花店が購入してくれたという。「あれは本当にうれしかった。心を込めて、究極の観葉植物を栽培してきて良かった」と振り返る。
娘の敦子(あつこ)さんも「両親がここまでやり切ってくれて悔いはありません。私たち家族にとっても誇りです」と笑顔で話す。
JAみえきたの直売所「四季菜尾平店」や自宅庭先での販売で購入した多くの人たちに感謝をしながら、最後の出荷まで心を込めて丁寧に育てていく。

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