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2025/08/15

丸山千枚田 オーナー制度/保全活動支える【ネットワーク東海8月2週号】

保全支えるオーナー

 熊野市紀和町(きわちょう)にある丸山千枚田は国選「日本棚田百選」にも選ばれ、1601(慶長6)年には2,240枚の田を誇った。その後荒廃し、約530枚まで減少した1993年に地元住民と紀和町(現熊野市)が協力して復田を開始。96年には1,340枚まで再生され、現在も稲作の営みを続けていることから、注目を集めている。

 96年に棚田の一部でオーナー制度を開始。保全活動に理解のある人を対象に募集し、農作業イベントを受け入れている。会費は丸山千枚田の景観維持と保全に充てられる。
丸山千枚田保存会の元会長、喜田俊生さん(77)は「丸山千枚田に骨を埋(うず)める気持ちでいる。若い世代に棚田農業の方法や魅力を伝えていかなければ」と話す。
 

田んぼとともに復活した伝統行事

 復田とともに復活した「虫おくり」は、53(昭和28)年まで行われていた伝統行事で、起源は農薬のない江戸期以前にさかのぼる。害虫被害を防ぐため、地元の子供たちがたいまつや太鼓、鐘を手に千枚田を練り歩き「虫おくり殿のお通りだい」のかけ声とともに虫を追い払った。2004年の熊野古道の世界文化遺産登録を契機に復活。05年以降、夏の風物詩として定着している。

 25年6月7日の虫おくりでは、キャンドル1,340本を棚田にともした。午後7時に行列がスタート。たいまつの明かりに照らされた田間を子供たちが練り歩く姿は、幻想的な光景だ。クライマックスには、幕末に竹や松で造られた「北山砲」の再現発射が行われ、観衆から歓声が上がった。

 

催し事も目白押し

 先の虫おくりのほかにも様々な催しがある。鳥獣から水稲を守るため、7月12日、オーナーを対象に「案山子作り教室」を開催。地元担当者の指導の下、参加者が制作した。制作されたかかしは「案山子コンテスト」にエントリー。終了後は流しそうめんを楽しみながら、交流を深めた。
 9月には恒例の「稲刈りの集い」を予定する。過去には約570人が参加したこともある。黄金色に実った品種「なついろ」を手刈りし、稲架掛(はさが)けすることで、伝統的な農作業を体感できる機会となっている。年間を通じて、地域住民と訪問者が手を取り合い「田=作り続ける場所」として存続を図る。
 かかし制作に愛知県から参加したオーナーの柳田孝伸さん(61)は「日本の素晴らしい田園風景である棚田の保全活動の一助になればと思い参加した。イベントを通じて知り合った他のオーナーさまと交流を深め、丸山千枚田を盛り上げて行ければ」と笑顔で話した。オーナーの柳田さん夫妻。米の豊作に向け、田んぼを支えてくれるよう思いを込める

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