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農業共済新聞

チョコレートコスモス 品種改良に力入れる【ネットワーク東海3月4週号】

2021-03-25

 「たくさんの人に満足してもらえるよう価格と品質にこだわって育てたい」と話すのは、伊賀市千戸の奥隆善さん(43)。主にチョコレートコスモスや葉ボタンなどの栽培に取り組む。チョコレートコスモスは品種改良にも力を注ぐ。

 隆善さんは、伊賀市内にあるハウス約850坪で父・千史さん(77)、母・泰子さん(73)、妻・栄美さん(41)と花苗や切り花を生産している。


↑価格と品質を追求す、質の良い花を生産する隆善さん

 隆善さん自身がチョコレートコスモスを交配して造った品種の中で、「ブラウンルージュ奥4」や「ノエルレッド」は米国に切り花を輸出している。名前の通り、チョコレートを思わせる落ち着いた色が特徴で人気だ。


↑出荷前のチョコレートコスモス


↑チョコレートコスモスが突然変異してできた「金ボタン」

 花に興味を持ったのは、小学生の頃に育てたアサガオや葉ボタンがきっかけだったという。さまざまなことを自分で試すようになり、生育過程を研究するようになった。「葉ボタンはキャベツと同じように生育しているかと思うと、初冬に様子が一変して花のような葉を広げる。やり方によっては意外な発見もできて楽しい」とほほ笑む。

 昨年、生産していたチョコレートコスモスで連作障害が発生。生育が極端に悪くなってしまった。そこで夏季に行う湛水処理の回数を増やし、余分な塩類の除去を念入りに行った。

 また、農薬によるくん蒸の濃度を高くし、さらに微生物資材を利用することで連作障害だけでなく、病虫害防除や肥料削減につなげる。2020年産は生育が見違えるほど良くなった。「効率良く何年も生産し続けるのは難しい。でも、そこを乗り越えないと、価格と品質の両立につながらない」と話す。

 ビニールハウスの被覆材を耐久性が良く、光の透過率が高いフッ素樹脂に変更。植物に必要な光合成を促し、日差しが弱くてもハウス内の温度が上がり、伊賀特有の曇りがちな冬の栽培管理がしやすくなったという。「以前使用していたPOフィルムより費用は高くなったが、将来的に考えるとごみが減り費用対効果も高く、SDGs(持続的な開発目標)の観点からも今後使っていきたい」と話す。

 切り花と苗の栽培・販売のスケジュール管理を徹底。切り花と苗を一緒に生産することは、スケジュールが重なることが多く難しい。日単位による年間のスケジュールを立て、守り続けることで両立を図る。

 苗の販売は週1~2回に限定。他の日は切り花の栽培・出荷に時間を使えるように工夫する。「お客さんの欲しい時期に品物を確実に届けるには、このスケジューリングこそが重要」と隆善さん。園芸教室の開催やテレビ番組への出演などを通して花の魅力を伝えている。

 今後は、現在の常識的な生産方法にとらわれない別の方法を実験していきたい考えだ。新しいことにチャレンジし、研究を重ね、たくさんの人に品質の良い花を気軽に使える価格でタイムリーに届けていく。

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