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農業共済新聞

松阪牛 素牛買い付けから肥育まで 共励会の常勝が目標【ネットワーク東海10月2週号】

2020-10-14

 本社が志摩市にある創業32年の「株式会社長太屋」は、自社牧場で丹念に育てた自慢の松阪牛を自社の精肉店やレストランで直売する。長太屋に勤めて4年目の川上康成(かわかみ・やすなり)さん(24)は、若手でありながら、素(もと)牛の買い付けから肥育までを一手に引き受ける。


↑ 牛一頭一頭の状態をよく観察し、病気にならないよう愛情を持って育てているという川上さん

 「幼い頃から家業を手伝っていたので、牛は身近な存在」と話す川上さん。実家は鹿児島県の与論島で和牛繁殖を営む。人口5千人ほどの小さな島で「人より牛が多い畜産の島で、牛と共に育った」。

実家を出て宮崎県の牧場で研修中にスカウトされ、長太屋に入社。現在は番頭として、濱口孝仁(はまぐち・たかひと)社長(73)から牧場に関する全ての仕事を任されている。

 長太屋は松阪市と玉城町に牧場3カ所を所有。松阪牛約900頭を飼育している。毎日、牛を管理する川上さん。素牛の買い付けで家畜市場にも出向く。「川上君はまだまだ若いのに、牛を見る目は一流。もう僕を超えてしまったよ」と濱口社長。「そんな彼だからこそ、安心して全てを任せられる」とうれしそうに話す。

 牛肉は霜降りの状態などから日本食肉格付協会によって格付けされ、ごく少数の牛だけが最高の「A5ランク」となる。他にも、脂肪交雑を評価する基準「BMSナンバー」は、霜降りの入り具合を12段階で示す。最上級に当たる12は、「肉の芸術品」と称されるという。

 長太屋の昨年末の出荷実績では34頭中32頭がA5ランクで、全てがBMSナンバー10以上。94%の割合を誇る。秘訣(ひけつ)について、「餌にこだわり、牛の成長段階や状態を見てブレンドを細かく調整することはもちろん、素牛を買い付けする段階から血統や体形を吟味し、成牛になったときの仕上がりをイメージして購入するんです」と川上さんは説明する。


↑ 丁寧にブラシを掛ける川上さん

 うま味のもとを研究するため、飼料メーカーに依頼し、肉の成分の分析や血液検査・肝機能検査などを定期的に実施する。出荷した牛は肉質等級のほか、月間における出荷時の平均体重などをデータで管理。各種データや成績は、素牛の導入元の繁殖農家と共有する。繁殖農家にも励みとしてもらうことで、品質向上につながっているという。

 自分が買い付けした素牛を立派に仕上げて出荷し、データの成績が良いとうれしいという川上さん。「与論島からもたくさん素牛を仕入れているので、良い成績が出せたときは地元に貢献できたという気持ちでうれしくなる」と笑顔で話す。
共励会に長太屋も参加。過去に優勝経験が多数ある。川上さんは「共励会で優勝することが毎年の目標。全国から注目を浴びるような牛肉を出品したい」と意気込む。

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