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農業共済新聞

水稲苗の食害を軽減【ネットワーク東海6月2週号】

2020-06-09

 水田一帯が鮮やかな緑色に染まり始めるこの季節。それは同時に全国的に勢力を拡大しつつ、侵略をやめないスクミリンゴガイ(以下、ジャンボタニシ)の目覚めの知らせとも言える。稲作農業者にとって厄介な敵。その対策に奮闘する農家に話を聞いた。

 有限会社喜多村アグリの喜多村浩嗣取締役(42)は、松阪市西黒部町で水稲100ha、麦40ha、大豆50haを手掛ける。
14年前に法人を設立。10年ほど前から目立ち始めたジャンボタニシの水害に危機感を募らせる。


 用水路や水田で増殖を続け、水稲苗に食害を及ぼす。喜多村取締役は、その都度対策を講じてきたが、昨年の被害は過去最悪となり、移植した苗が根こそぎ無くなった水田もあった。

↑昨年の被害田



 喜多村取締役によると、近年は4月に気温が高くなる傾向にあり水温が上昇。苗を移植する時点でジャンボタニシの活動が活発化してしまっていることが要因の一つという。繁殖力はもちろん、動きの速さにも問題がある。

↑苗を食害するジャンボタニシ


↑畦に産み付けられた卵塊(円内)



 
「田植えをして別の圃場へ向かったが、戻って確認してみると既に苗が食べられ始めていた。動きが非常に活発だ」と喜多村取締役は嘆く。だが、そこから見いだした対策のポイントを次のように説明する。

「ジャンボタニシは泥状の地表を滑るようにして動く。数が増えてくるのも土が軟らかいためだ。だから苗の移植直後にあえて水を落とし、一時的に土を乾燥させ固める。表層が固いとスムーズに動くことができず、地中の個体も出て来にくくなる。ただ、苗が枯れてしまっては元も子もない。だから天候も加味しながら、入れる水の管理を注意深く行っている」

↑対策を施した今年の田



 加えて昨年の10月頃、悪天候が続き、進まない麦の播種作業の前に石灰窒素を収穫した水田に散布したことで十分な効果を生んだ。  
  
「石灰窒素には水も必要だが、予期していた雨が程よく活用できた。さまざまな条件が重なった部分も大きい」と喜多村取締役は言うこれらの努力と取り組みで、本年度の被害は前年と比較すると全体で60%ほど軽減させることができた。
 
 また、今年から農業保険を収入保険へと切り替えた喜多村取締役。「コストと補償のバランスで頭を悩ませたが、世界で新型コロナウイルスという脅威が生まれた。農業も自然災害や天候に大きく左右される。結果として総括的なリスクに備える事が出来て良かった」と話す。

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