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農業共済新聞

安心して生食を【ネットワーク東海7月2週号】

2019-07-19

リーフレタスのハウスで辻代表。親交のある農業団体の指導を受け、2009年に水耕栽培を本格的に始めた


 おいしい生野菜を、カリウム制限が必要な人でも安心して食べてもらいたい」と話すのは、株式会社アクア菰野辻農場の辻惠美子代表(72)。腎臓疾患の人でも食べられるカリウムの含有が低い葉物野菜の水耕栽培に取り組んでいる。種類はコマツナとミズナ、リーフレタス、フリルレタス。他の野菜でも作ってほしいとの声も寄せられているという。

 低カリウム野菜の生産を始めたきっかけは、腎臓疾患でカリウムの摂取を制限するため、生野菜が食べられない親戚の話を聞いたこと。腎機能の低下は高カリウム血症を引き起こす。血中のカリウム濃度が上がり、不整脈などで血圧が低下し、死に至ることもあるという。

 高カリウム血症は、カリウムを多く含む生野菜が制限の対象となる。ゆでたり水にさらしたりすることでカリウムを多少抜くことができるが、十分とはいえない。その上、調理に手間と時間がかかり、おいしさも失われてしまう。

 低カリウム野菜は、通常の栄養成分からカリウムだけを50%以上カット。制限が必要な人でも安心して生のまま食べることができる。
カリウムは土壌にも含まれているため、低い含有率を実現するには水耕栽培が不可欠だ。「水耕栽培ならではの魅力ですよ」と辻代表は話す。
 栽培に使用する水を重要視。当初は雨水だったが、井戸水に切り替えた。鈴鹿山脈を水源とする天然水で、ミネラルが豊富だ。

梱包(こんぽう)作業も自社で行う


 低カリウム野菜の生産を始めた当初は、通常の野菜より色着きが早く赤みが出やすいことから、敬遠されてしまうことが多かった。今では、より品質の良い状態で消費者の元に届くように、出荷のタイミングを調整している。また、地元の人には自宅や職場まで配達するなど工夫し、取れたての野菜を提供できるよう努めている。

コマツナのハウスで従業員らと辻代表(右列の前から3人目)。アクア菰野辻農場では、障がい者の就労支援を行うなど福祉事業にも取り組む



 「小さいお子さんが、ここの野菜以外は食べないと話してくれたことが一番の喜び」と辻代表。今後は、低カリウムに限らずリンの含有が低い野菜の栽培も視野に入れていきたいという。「栄養成分の制限が必要な人も含め、より多くの人に安心して食べていただける生野菜を提供していきたい」と話す。

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