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農業共済新聞

「売れる」喜びが力に【ネットワーク東海6月2週号】

2017-06-14

圃場で作業をする吉川さん

「自分が作った野菜を納得して買ってもらえるよう、伝える努力を惜しみません」と笑顔で話すのは、鈴鹿市追分町で西洋野菜を主に年間約200品種の野菜を栽培する「すいーとぽたけ」吉川文(あや)さん(39)。色や形が個性的な珍しい品種や、流行の料理に合う野菜などを栽培。直売所での販売の他、飲食店に直接販売交渉をするなど独自の販売ルートを確立している。

野菜を販売施設に陳列する吉川さん

一緒に栽培する母の久美子さん㊨と吉川さん

 環境分析会社に勤務していた吉川さんは、結婚・出産を機に退職。子育てに追われる専業主婦だったが、植木農家だった祖父母の土地を有効活用しようと、6年前に野菜の栽培を始めた。
 直売所に出したところ、売れたことに嬉しさと楽しさを感じ、本格的に農業を始めようと決心した吉川さん。母の稲田久美子さんと弟の稲田光さんに「家族でやろうよ」と声をかけ、農園「すいーとぽたけ」をスタートさせた。農園の名前は、大好きな「スイートポテト」と家庭菜園を意味するフランス語「ポタジェ」、「畑」の3語から作った造語だという。
畑は鈴鹿市特有の「黒ボク」土で、自ら土壌の簡易分析を行う他、専門家にも分析を依頼。両方のデータを土作りに生かしているという。土作りには、地元養鶏農家の発酵ふんや、鳥羽市浦村のかき殻石灰など、地域の資源を活用する。吉川さんは「資源循環型農業を意識し、地下水や川を汚染しないよう自然環境に配慮しながら有機栽培に準じています」と話す。作業や収穫期の分散や、価格の低迷や台風などのリスクを回避するため少量多品目栽培を行う。栽培品目を選択する傍らで、種苗会社「サカタのタネ」から新しい野菜の試験栽培委託を請け、珍しい野菜の栽培にも挑戦している。
 販路開拓も自ら行っていて、野菜を持ってレストランに出向き、シェフに直接交渉を行ってきた。「断られたお店もあったが、シェフつながりで、今では関西などのレストランから注文があります」と笑顔で話す。 
また、「リーチストック」や「ポケットマルシェ」といった会員制交流サイト(SNS)を通じて販売もしている。吉川さんの作る野菜に興味を持った飲食店から注文を入るという。稲田さんはJAの白ネギ部会に所属し、鈴鹿市特産の白ネギを栽培。安定した出荷を目指し、経営も安定してきた。
 吉川さんは、農林水産省の農業女子プロジェクトメンバーとして活動に参加する他、農業者のサポート組織「みえ次世代ファーマーズmie1」のメンバーになっている。地方創生につなげる交流に積極的に参加していて「雇用を生むまで経営できるようになればいいな」と構想を描く。「うちの野菜が楽しい食卓の役に立つことを望みます」と家族で農作業に励んでいる。

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