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農業共済新聞

深野の棚田 守り続ける 【ネットワーク東海11月4週号】

2016-11-25

 深野の棚田は、面積約35㌶に広がる、約120段の高い石積みのあぜが特徴で、一段の高さが3㍍に及ぶものもある。野面積みという城の石垣にみられる工法で積まれ、その壮大な景色に写真家や観光客から人気が高い。1999年には、日本の棚田百選に選ばれた。

棚田の保全に取り組む栃木さん

 松阪市飯南町深野の栃木善明さん(67)は、2001年より棚田保存会を結成し、代表として深野地区の棚田の保全に取り組んでいる。保存会は18軒の農家で、3.5㌶、36筆を所有し、水稲の作付けと棚田の管理をおこなっている。

 農林水産省の事業である、中山間地域等直接支払制度を利用したことが保存会結成のきっかけ。保存会では年に三度、水路の掃除と除草作業を行い、保全に努めている。5年区切りの事業を継続して、2015年度から第4期対策に取り組んでいる。

 また、地域資源を有効活用していこうと、駐車場やトイレ、あずまやなどの施設の整備がなされている。

 棚田での耕作は、一筆あたりの面積が小さく、筆数が多いため、水の管理など平地の田に比べかかる手間も多い。高い石積みの田に農業機械を乗り入れる際は、十分な注意が必要だ。山林に沿うように広がる棚田は、イノシシ、シカなど獣害の被害も受けやすい。景観に配慮し、鉄柵を張るのは避け、電気柵を張って対策を行っている。苦労の一方で、収穫できる米は美味。「白猪山から湧き出た温度の低い湧水と、標高による昼夜の気温差が米をおいしくしてくれます。同じコシヒカリの品種でも味が違うと評判ですよ」と栃木さんは話す。

水稲の収穫の様子

 この棚田を広く知ってもらおうと「棚田まつり」が10月22日に開催された。この催しは5年目で、竹の筒にろうそくを入れた3500本のあんどんが畔に並べられた。見晴らしの良い山の斜面に灯りが並ぶ幻想的な景色に、1000人を超える客が訪れた。

 9月30日には、飯南町を農業遺産に登録申請した。同町の特産品である特産松阪牛の肥育、茶の栽培、そして棚田の保全を包括的に捉えた「伝統的な和牛肥育を継承する棚田の里の複合農業」がシステム名称だ。農業遺産の認定によって、深野の棚田の名前が広がりさらなる観光資源となること、棚田の米のブランド化への足掛かりとなることが期待される。「深野に住む私たちは家のすぐ近くに棚田があるし、生活が棚田と一緒なんです。農道の整備をして使いやすい田にしたいですね」と棚田への気持ちを話してくれた。

3500個のあんどんが並ぶ棚田まつり

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