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農業共済新聞

業界に新風吹き込む 【ネットワーク東海7月1週号】

2014-07-02

 関西で「へんこ」と言うと頑固で一風変わった人のことをさす。伊賀地方で有機農業に取り組む生産者らが連携し、販売・技術面で様々な革新を起こし業界に新風を吹き込もうと2013年11月に設立されたのが「株式会社へんこ」(本社・伊賀市ゆめが丘)。流通と生産技術の2本柱で同市古山界外で有機トマトなどを生産・販売している。

 「伊賀ベジタブルファーム株式会社」の代表、村山邦彦さんが新会社の社長に就任し、同地域の個性豊かな生産者6人が取締役として支える体制。この“七人の侍”を中心にどんな革新を起こそうとしているのか村山さんに聞いた。

ハウスでミニトマトを確認する村山さん

「へんこ」の母体になっているのは10年に設立された「伊賀有機農業推進協議会」。 村山さんは大学卒業後、燃料電池の開発エンジニアを経験。「いずれ日本のエネルギー事情は厳しくなる。何ができるのかと考えた結果、第1次産業である農業に身を置き、資源循環型で持続可能な社会の仕組みを考えたい」と脱サラ、名張市の有機栽培農家の元で2年半にわたって修行を積んだ。「理系出身のマニアックな人間が、熱い思いで有機農業の盛んな伊賀の地にやってきました。同じような若い人も多いですよ」と笑う。

 顔が見える流通、作る人、売る人、食べる人がお互いに「顔の見える仕組み」を再構築していくという。

 有機農産物は生産量が不安定なので「出荷量の増減や出荷時期などの情報を生産者自身が公開し、リアルタイムで流通業者らに伝える事が鍵になる。逆に、末端のお客さま、料理人、飲食店から細かい情報を拾い上げ、生産者にフィードバックする。そういうシステムを1年半位で構築し、ネットを通じて生産者の畑や耕作の様子を伝え、顧客の反応も即座に届くようにしたい」と語る。また農業体験などを通じて都市部のファンを取り込むことにも力を注ぐ。

 生産技術面の改革、経験と勘に頼った従来の有機栽培法に科学的な視点からメスを入れる。化学肥料や農薬を使う従来の「栽培マニュアル」は既に整備されているが有機栽培ではマニュアル化が大幅に遅れている。資源循環型の肥料や堆肥には様々な成分が含まれており、季節によって効果が大きく異なるため、適正量の判断が難しい。そこで有機農業に適した土壌分析や施肥設計方法を開発し生産者を支援していく考えだ。「完全なものになるのは数年かかると思いますが、根幹になる技術については特許申請もすすめています」と話す。

出荷作業の様子

 将来的には有機農業の盛んなEUへの技術輸出も視野に入れている。同社の中期計画では、当初は赤字計上となるが、2年のうちには国の「6次化ファンド」などを活用して、カフェ・店舗・作業場・物流倉庫などを兼ねたオーガニック流通拠点を造る構想もあり、「へんこ」ブランド商品の取り扱い拡大によって、3年目の16年から黒字転換するもくろみだ。村山さんは「専業農家が十分な収入を得ることができるようにして、伊賀の地で就農を目指す若者をどんどん増やしたい」と熱く語った。

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